ソフトバンク(株)先端技術研究所 先端技術高度化推進室 室長
朝倉 慶介(19期)
高校時代 ― 空手と学業の日々
鹿児島第一高校へは空手推薦で入学しました。空手を続けたいという思いと、将来の大学進学を見据えての選択でした。
高校では鹿児島県新人戦で個人組手で優勝を果たし、翌年も連覇。インターハイにも出場できました。厳しい稽古や仲間との競い合いは、高校生活の大きな財産になったと思います。
大学時代 ― 学びと挑戦
2007年に鹿児島第一高校を卒業後、明治大学理工学部機械情報工学科へ進学。大学でも空手を続けましたが、2年次に退部し、学業に専念することを決意しました。
研究テーマは脳損傷メカニズムの解明。脳損傷とキャビテーション現象との因果関係の立証研究に取り組み、「工学を医療に生かす」という新しい領域に挑戦しました。
在学中には、衆議院議員事務所でインターンを経験。衆議院議員会館に通い、秘書の仕事を手伝いながら社会を学ぶ貴重な機会となりました。
一方で、震災後の就職氷河期も重なり、留年や就職浪人を経験。大学の研究室の特別研究員として在籍しながら、就職活動を続ける苦しい時期もありました。
社会人として ― ソフトバンクでの挑戦
努力の末に入社したのはソフトバンク。最初は全国規模の基地局建設プロジェクトに従事し、日本の通信インフラ整備を現場から支えました。
その後、CTO(Chief Technology Officer)室へ異動し、投資の技術デューデリジェンスや新規事業、合弁会社の設立業務に従事し、現在は先端技術研究所でモバイルネットワークを基盤に、車との通信、自動運転、AI、ブロックチェーンの社会実装など、最先端の研究開発に携わっています。技術は使われてはじめて価値が生まれるため、単に研究をするだけでなく「社会に実装する」ことを重視し、継続的な事業としての成立を心がけています。
技術と社会へのまなざし
AIの進化によって生まれた「人の余剰時間」がどう使われるかにも関心があり、技術による効率化で生まれた時間を、仕事や研究に活かして人はさらに進化するのか、その必要があるのか、技術を扱う者として重要なテーマだと考えています。
また、地方出身者として地域課題の解決にも強い思いがあります。自動運転や通信インフラの導入により、都市と地方の格差を少しでも埋めたいと考えています。
現役生へのメッセージ
「もし夢や目標がなく困っている生徒さんがいたら、是非参考にしてみてください。僕自身、高校時代に明確な夢はありませんでした。夢がなくても、全力で挑戦し続ければ、自然と『ここが自分の居場所だ』と思える瞬間に出会えます。そのためには様々なことにチャレンジし、多くの経験を積むことがとても重要です。世界は想像以上に広く、多種多様です。きっとあなたにフィットする価値がどこかにあります。臆せず、世界に飛び込んでみてください。」

